私は今アムトラックに乗っている。しばらくすると目が覚め、外が明るくなっている。少し汚れた窓にうっすらと自分が映っている。私は今アメリカにいる。この旅の計画を立てるのに1カ月を費やした。それが一瞬に過ぎていく。旅も後半戦に入る。いつもなら家族と一緒にいて、友達と一緒にいて、なかなか一人という時が無い。もちろん部屋に一人でいることはあるが、ここはどこなのか、次はどこに行けばいいのか、などという新鮮さはない。しかし私はその新鮮さの中にいる。たまには一人でいるのも悪くない。自分探しの旅とよく言うが、具体的には今の私には説明できない。ただひたすら歩いて景色を見ているだけだ。しかし、何かを見つけたいのは確かだ。それは何でもいい。ただ単に何かを掴みたいだけだ。世界を見たいと思い、この度を計画したが、本当は何かを見つけたくて日本を飛び出したのかもしれない。
隣に白人青年が座り、また列車が動き出す。何やらレポートらしきものを読んでいる。学生なのだろうか。また眠くなってきたので、再び眠ることにした。
ワシントンDCに到着。3日前にここにいたが、久しぶり、帰ってきたぞ、という気分だ。美しいユニオン駅。日本と違うので、なんでも美しく見えてくる。まずはホテルに行って荷物を置こうと思い、ホテルに向かうことにした。ユニオン駅から地下鉄レッドラインに乗ればいい。乗り換えなしだ。切符を買おうと思ったが、買い方を忘れてしまった。この前教えてもらったのに申し訳なくなった。適当にボタンを押し、$10入れた。シングルパスがほしかったのだが、何と$10の切符が出てきてしまった。おそらくここでも地下鉄に乗ることはほとんどないだろう。私にとって$10はかなりの大金である。交換してもらう勇気もなく、仕方なしにこの切符で行くことにした。“Farragut North” という駅で降りて、地図を見ながらホテルに向かった。
到着し、愛想のいい黒人スタッフの方が迎えてくれ、ニューヨークと違ってなかなかいい感じのホテルだ。カード式のキーが渡され、私の部屋は2階だった。部屋番号は書いてあったのだが、1か7かわかりにくい。1と思ったので1の部屋を空けることにした。カギの開け方も書いてあったが、その通りにしてみたつもりだが開かない。7なのかと思い、そこもやってみたが開かない。やっぱり1だろうと思い、何度か繰り返していたら開いた。カギの開け方も最初は難しいものだ。しかし部屋に入ってみると、その広さにびっくりした。これほど広いホテルに泊ったことは初めてである。ちゃんとお風呂とトイレもある。これでゆっくりできそうだ。この一人ではもったいないほどの部屋で、このアメリカの旅の疲れも少しは癒せるだろうと思い、日本でこのホテルを予約した時は高いと思ったが、今はここにして正解だったと満足である。今晩のお風呂が楽しみだ。
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