スタテン島行きのフェリーがあるところに来た。どこにあるのだろうかと心配であったが、すぐに分かった。予想以上に人が多い。ゲートがいくつかあったような気がするが、一番人が多いところに一緒になって並んだ。フェリーがやってきて、門が開いた。思ったよりも大きなフェリーである。「あの自由の女神が見れるんだ」という興奮が収まらなかった。フェリーに乗り、階段を上って一番上の開放デッキみたいなところに行った。窓ガラス越しではなく、直接この目で見たかった。座席もあったが、座る気がしない。さぁ、約25分の航海の始まりだ。
ゆっくりと舟が動き出す。小さく自由の女神が見える。いよいよだ。海にカメラを落とさぬようにしっかりと握りしめて、今か今かと対面の時を待つ。風が強い。しかし、何とも気持ちのいい風だ。じっくりと近付いてくる。そして女神の前に立った時、なぜかわからないが涙が出てきた。何の涙だろうか。悲しみではない。喜びとも違うかもしれない。ただ単に嬉しかっただけなのか。涙の理由は自分でもわからない。これが自由の女神。手を高らかに天に突き上げ、美しく、勇ましく、堂々たる姿。この姿を一体何に例えたらいいか。とにかく太陽に輝いてみえる。そうだ、これが自由の女神なのだ。
25分の航海はあっという間であった。スタテン島では何もする予定はなかったので、すぐさまマンハッタンに帰るフェリーに乗ろうとした。そう思っているのは私だけではなかった。かなり多くの人が、すぐさま復路のフェリー乗り場に並んだ。彼らも自由の女神を見るためにこのフェリーに乗ったことはすぐにわかる。
夕日が美しい。海がまぶしい。カモメと共に航海をする。再び女神の前に立つ。この自由の女神はどこを向いているのだろう。マンハッタンに向いていないことは確かだ。“LIBERTY” そのものに向いているのだろうか。
しばらくするとマンハッタンが近づいてくる。このマンハッタンの景色が一番美しいと言われている。展望デッキにいた私はすぐさま階段を降り、前方が見える場所へ移動した。人がたくさんいたが、写真を撮りまくった。船が揺れてうまくは撮れなかったのだが。高層ビルが多いマンハッタンだが、なぜだか空が広いように感じられた。こちらも最高に美しい。これぞマンハッタンだ。往復で50分の航海であったが、感無量の50分であった。素晴らしい。また女神に会いに行きたいと思う。
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