外はまだ真っ暗だ。人通りもほとんどない。新聞紙が風で舞い、紙コップが風で転がる。本当に映画みたいだ。アメリカにいてこの時が一番怖かった。人がいないということは襲われる危険があるということだ。できるだけメインストリートを歩くようにした。道路を掃除しているトラックのエンジン音がやかましい。掃除をしているというよりかは、ゴミを撒き散らしているだけのようだ。
ペンシルバニア駅に着くと、人がたくさんいて安心した。早速アムトラックのチケットを買おうと思い、カウンターの列に並んだ。カウンターはいくつもあるのに、空いているカウンターはわずかしかなかった。焦っても仕方が無かったが、早くしてほしかった。待っているときに予想していたことが起こってしまった。なかなか進まないので、しゃがんでいたのだが、列が進んだので詰めようと思い、立った時に立ちくらみがきたのだ。しかもこれはかなりきつい。まともな食事は取っていない。貧血だ。そして気分が悪くなってきて、目が回る。こんなところで倒れてはいけないと思い、必死で耐えていた。そしてやっとのことでチケットを買う番がやってきた。一番早いのを頼むと、もう出発するから急げと言われた。近くにいたスタッフみたいな人に、ここで良いのか聞くと、はい、ここですよと言い、急いでエスカレーターを降り、目の前にあったドアから飛び乗った。しばらくしてドアが閉まり、発車した。ギリギリセーフだった。アムトラックは自由席だが、ファーストクラスやビジネスクラスがあったような気がして、私が乗ったこの車両は何なのかわからなかったので、かなり太った車掌さんに聞いてみたが、どこでもいい、と言う。ここでもいいのかもう一度聞くと、やっぱりどこでもいい、と言う。怒っているみたいだった。
朝早かったので、店が開いていなかったので、水を買うことができなかった。気分が悪かったので、何か飲みたかった。日本から持ってきたお茶をスーツケースに入れてあるのを思い出し、狭い席だったが、スーツケースを開け、手探りでお茶を取り出し、お腹に流し込んだ。これで大分落ち着いたので助かった。これでニューヨークともお別れだ。本当に短かった。今度はもう少しゆっくり来れるようにしたい。車掌がやってきて切符をチェックする。サインをしろと突っ返された。この前アムトラックに乗った時は、サインをしなくても何も言われなかったが、今回はする必要があるみたいだ。ペンを貸してくれ、サインした。だんだんと眠たくなってきたので、カバンを抱きながら眠りについてしまった。
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