2011年9月1日木曜日

「旅」という学校

大阪に台風が近づいているため,風がかなり強い。雨も降ったり止んだりの繰り返しである。今日はどこへも行かず,家でゆっくりしていた。洗濯物を外に干すかどうかで迷ったりしていたが,外に干すことにし,雨が降ってきたり,風で洗濯物が飛ばないように見張っていた。たまにはこういうのもいいか(笑)。



最近,『旅する力』という沢木耕太郎氏が書いた本を読み終えたのだが,これも素晴らしい本であった。私が興味を持っているから余計におもしろく感じたかもしれないが,「旅」について教えてもらった。
私が気に入ったところを紹介したい。
“しかし,そうした旅を気軽にできるようになった若者たちに対して,私が微かに危惧を抱く点があるとすれば,旅の目的が単に「行く」ことだけになってしまっているのではないかということです。大事なのは「行く」過程で,何を「感じ」られるかということであるはずだからです。目的地に着くことよりも,そこに吹いている風を,流れている水を,降りそそいでいる光を,そして行き交う人をどう感受できたかということの方がはるかに大切なのです。”

私がこの前の旅で一番印象に残っているのは,アメリカの「街」と「人」である。もちろん訪れた場所はすべて強烈な印象を残しているが,それよりも歩いた街並みやそこで出会った人々が一番心に残っている。

“ もしあなたが旅をどうしようか迷っているとすれば,私はたぶんこう言うでしょう。
「恐れずに」
それと同時にこう付け加えるはずです。
「しかし,気をつけて」
異国はもちろんのこと,自国においてさえ,未知の土地というのは危険なものです。まったく予期しない落とし穴がそこここにあります。しかし,旅の危険を察知する能力も,旅をする中でしか身につかないものなのです。旅は,自分が人間としていかに小さいかを教えてくれる場であるとともに,大きくなるための力をつけてくれる場所でもあるのです。つまり,旅はもう一つの学校でもあるのです。
入るのも自由なら出るのも自由な学校。大きなものを得ることもできるが失うこともある学校。教師は世界中の人々であり,教室は世界そのものであるという学校。
もし,いま,あなたがそうした学校としての旅に出ようとしているなら,もうひとつ言葉を贈りたいと思います。
「旅に教科書はない。教科書を作るのはあなたなのだ。」”

旅は今の自分の力を教えてくれる。何ができて何ができないのか。まったく知らないところで放り出され,さぁここからどうしようか,と暗闇の中をさまよっていく。右も左もわからないところで,怖いことには変わりないが,その先にある景色を自分でも見てみたい。誰も教えてくれはしない。最後に決めるのは私自身なのだから。「旅」という学校,素晴らしいところではないか。

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