「お金」の話が出てきたので、その話をしようかと思う。私は今、学生である。改まって言うこともないが。授業料、生活費などすべて親が出してくれている。具体的な仕送りの値段は言えないが、1カ月に一度郵貯に振り込まれている。その仕送りから、家賃、光熱費、交通費、生活費などすべてそこから出している。それ以上のお金は要求しない。その範囲内で生活する。子供が働き始めるまでにかかるお金は1000万とも2000万ともいわれる。全額ではないが、私が働き始めたら、ちょっとずつ返していこうと思っている。さてここが私の言いたいところだ。
私は今はそのお金を返す予定はない。もちろん返していきたい気持ちは山々だが、それはしない。アルバイトで貯めたお金や少しお金に余裕があるときは、できるだけ自分のために使うようにしている。もちろん遊ぶのに使うのではない。はたから見れば遊んでいるかのように見えるかもしれないが。もう一度言うが、私は今学生である。今しかできないことがある。この学生時代にしかできないことがある。春休み、夏休みは1カ月以上もある。社会に出て、働き始めたらこれほどの休暇を取れることはまず不可能だ。だから今しかないと私は言うのだ。
ついこの間、ボランティアに参加した。それはそれなりにお金がかかってしまった。しかし、かけがえのない大切なものを手に入れることができた。それはお金では決して手に入れられるものではない。その前には海外へ行った。約23万円かかった。そのお金は私が大阪でアルバイトをしたときに貯めてあったお金を使った。コツコツ貯めてきたお金が、たった1週間で、一瞬でそのお金がなくなった。それで私は後悔したのか。いや、していない。行ってよかった、と胸を張って言える。本当に貴重な経験だった。この学生の時に、頭が柔らかい時に、アメリカの一部を見ることができた。素晴らしかった。本当に貴重な経験であった。もちろん家庭の事情で、アルバイトをしながら授業料、生活費を稼がなくてはならない人もいるだろう。なぜ私が今親にそのお金を返さないのか。(次にあげる例は、正確な数字ではない。わかりやすくするための例である。)例えば、今1週間に3回、アルバイトをしているとしよう。1日だいたい3,4時間程度とする。それで貯められるお金が5千円とする。数年後、社会に出て働き始める。1日でその5千円を貯めることができる。これはかなり単純な例であるが、社会に出てから働く方が効率的であるのはわかるだろう。私はそう思って、今は返さず、働き始めてから返そうと思っている。つまり、「未来に自分に借金する」のだ。
学生時代は、あっという間に終わってしまう。気が付けばもう3年生でもう6月になるではないか。何もせずに終わろうと思えば終わることができる。授業に出て、その勉強だけをしていればいいのだろうか。そんなことはないと思う。私はこの学生時代に、どれだけ「非日常」を味わえるかだと思っている。海外もそう、ボランティアもそう、あれはすべて「非日常」である。その「非日常」がどれほど私に力を与えてくれているだろうか。それはとてつもなく大きなものだ。お金はかかった。しかし、無駄金ではない。
学生時代にどれほど視野を広げるかだ。「井の中の蛙大海を知らず」で終わりたくない。日本は広い。世界はもっと広い。日本の何が良いのか、悪いのか。大阪のどこが良いのか、悪いのか。それは外から見ないとわからない。外から見て初めて見えてくる。多くの経験をすればするほど、誰かに話ができる。将来、自分に家族ができ、子供ができたら、その子供に話をしたい。教師になって自分の教え子たちにその話がしたい。何も知らない大人にななりたくない。今、本当に貴重な時間である。終わってからではもう取り返しがつかない。「もっと楽しく、もっと有意義に」、それはどういう意なのか、もう一度考えてみようと思う。