2012年11月8日木曜日

きっと人間だって

 私は映画が大好きである。小学生の時から好きになり、今まで洋画を中心に多くの映画を見てきた。その映画が好きになったきっかけの映画がある。それは『ターミネーター2』である。なんだよターミネーターかよ、という人もいるかもしれないが、私は単なるアクション映画ではなく、ヒューマンドラマ、そして人類にとっても必要な映画だと感じているからだ。小学生の時はそこまで深くは考えていなかったが、今改めて見てみると本当に素晴らしい映画だとつくづく思うのだ。
 近未来で人類と機械との戦争が起きるのだ。人類抵抗軍のリーダーであるジョン・コナー。そのジョンを抹殺すべく、敵のスカイネットは過去にターミネーターを送り込む。そして少年時代のジョンを守るために人類抵抗軍もターミネーターを送り込む。そしてジョンをめぐる死闘が過去で行われるのだ。ここから先はまだこの映画を見ていない方は読まないほうがいいと思います。少しネタバレになってしまいますから。

ジョンをターミネーターが助けるのだが、これは人間と機械だ。全くの別物といっていい。しかし、人間であるジョンと触れ合っていくうちにこの機械であるターミネーターは徐々に変化していくのだ。人殺しが仕事であるというターミネーター。それは絶対にしてはいけないというジョン。日常生活では使わない言葉をターミネーターは使っていたが、ジョンが言葉を教えていく。そしてジョンと遊ぶターミネーター。少しづつだが機械は人間に近づいている。映画の後半に入るくらいにターミネーターはジョンに質問する。「なぜ人間は泣くのだ」と。心が傷つくってわかる、とジョンはターミネーターに聞くが、わからないと言う。触れ合っていくうちにもはや人間と機械ではなく、この世で最も信頼できる父親の存在となっていた。死闘を終え、ターミネーターは自分も抹殺しなければならないと自分を溶鉱炉に沈めるように言う。しかし、ジョンは泣き叫びながらそれを阻止しようとする。その時ターミネーターは理解したのだ。なぜ人間が泣くのかを。
 この混沌とした今の時代。最も難しいのが人間関係かもしれない。自分の思うようにはいかないことのほうが多いかもしれない。誰もが、優しい人間になれたら、強い人間になれたら、そう願うだろう。苦しみや腹立たしさに耐えられず、人を殺す。人間は自分を中心に考え、利益のためなら、そして勝利のためなら人を殺してしまう。人と人が殺し合う戦争。最近のニュースを見ていても、この日本で子供が子供を殺すという事件もある。腹が立ったから人を殺すという何とも軽い気持ちで、それを聞いては苛立ちを覚えてしまう。命の重さとはどれほどのものなのだろうか。この映画はそれを教えてくれるのだ。機械のターミネーターですら、命の尊さを理解できたのだから。きっと人間だって。

「ジョンと遊んでいるサイボーグを見て、突然理解した。
 ターミネーターは片時も休まず、いつもジョンのそばにいる。
 決してジョンを傷つけたり、怒鳴ったり、酔って彼を殴ることなく、こうして見守ってくれる。
 そしていざとなれば、命を捨ててジョンを守るのだ。
 今まで父親代わりの男はたくさんいたが、父親の役が果たせるのはこのマシーンだけなのだ。
 この異常な世の中で、それだけが確かなことなのだ。」―作品中より

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