2012年12月15日土曜日

どう見る、この国を

地鳴りのような轟音を上げ煙を発しうごめく巨大な船影。1953年、ペリー提督率いるアメリカ艦隊が浦賀湾沖に姿を現した。世に言う“黒船来航”である。いきなり目の前に現れた圧倒的な力。あるおのは武器を手に、あるものは知恵を絞り異国へ立ち向かった。
 近代日本の礎を築いた“坂本龍馬”もその一人だ。「世に生を得るは事を成すにあり」(司馬遼太郎著『竜馬が行く』より)。当時19歳の若者この時を境に「日本国」のため自らの一生を捧げることを決意。諸藩が力を合わせる必要性を説き、薩長同盟を実現させ大政奉還を成し遂げた。
 黒船来航から約150年。当時2週間あまりかかった京都東京間新幹線でわずか2時間半。その気になれば、日本中どこの情報だろうと一瞬で手に入る。一方で続いている未曾有の経済危機。年々強大になる経済力を背景に干渉を繰り返す隣国。この現在の日本が龍馬の生きた時代、幕末と重なる。では、今の日本に志を持ち、国難に立ち向かった龍馬のような若者はいるのか。
 36.0%ー。2007年7月29日に行われた参議院議員選挙での20代の投票率だ。他の先進国と比べても、極端に低いこの数字。若者の政治離れは、低下する学力同様、危機的状況と言える。確かにグローバル化社会の進展で国際状況が複雑化する時代。選挙で一人が投じる一票が国を劇的に変えることはできないかもしれない。しかし、だからと言って、「国民」としての義務を放棄してよいはずがない。
 33歳で暗殺されるまで「日本国」のために命をかけた龍馬。短い生涯を閉じた若者は霊山護国神社で幕末の志士たちとともに、ひっそりと眠る。京都市内を一望できる東山で世界を、そして私たちをどのように見ているのだろうか。

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