2024年2月7日水曜日

矛盾した感覚が映画体験である

 昨日の午後から今日の明け方くらいまで、こちら東京では雪が降っていて、思ってた以上に積もったのだ。天気予報では注意を促していて、それは知っていたのだが、いざそうなったらやはり大変である。雪国は当たり前だが備えはしてあるが、東京はやはり雪に弱い。交通機関はすぐに止まってしまう。高速道路も通行止めになるし、個人の車自体雪用タイヤにしている人がほとんどいない。東京で雪が積もるといったら年に1,2回、多くても3回くらいだろう。確かにその回数で冬用タイヤを用意して、それを維持するのは大変だ。といっても、例えばこういう雪が1週間続いたらどうなるのだろうか。1日くらいだったら会社を休んでも大丈夫だろうが、それが1週間雪が続いたら1週間ずっと休まないといけなくなってしまう。そうならないような対策を考えていても無駄にはならないだろう。毎年この時期に思うことなのである。
 今日は昨年観た韓国映画の超おススメ映画を2本紹介したい。まず1本目は『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』である。この映画は2023年に初めて映画館で観た作品で、私の中ではめちゃくちゃお気に入りの作品なのである。この映画は正直な話、なにか新しいことや挑戦していること、斬新なことは全くやっていない。でも、今までに存在しているエンターテイメントの全てをぶち込んできている非常にクオリティの高い作品である。主人公のパク・ソダムは『パラサイト/半地下の家族』の長女役で出演していた女優である。初めての主演映画ということだが、すばらしい演技を発揮している。『ドライヴ』と『レオン』の映画は足したような映画で、上映時間も2時間以内で、テンポがよく、一瞬で観終わってしまう。コメディ色が多くみられるが、バイオレンス描写もなかなかであるが、誰でも見られるレイティングになっている。私がこの映画を映画館で観ているときに感じたことは、ここまでのクオリティの作品は絶対に日本は作ることができないなーと素直に感じたことだ。もし作れたとしても何十年も先の話だろう。完全に打ちのめされたのである。もう一つの作品が、こちらはNETFLIXの配信でしか観られない作品だが、『バレリーナ』という作品である。こちらも女性が主人公で、親友が自殺してしまい、その原因であった犯人に復讐するどころかその犯人がいる組織を壊滅させるというすばらしい内容の作品である。組織的な性暴力事件を描いているため、ファミリー向けではないが、シリアスな展開がメインではあるが時折見せる爆笑シーンがあるのがすばらしい。タランティーノ作品の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の火炎放射器同様にこちらも火炎放射器が登場し、ちゃんと伏線の回収&爆笑という感じなのでやっぱりやってくれるかー!!と大満足作品である。親友との過去の思い出がフラッシュバックしながら物語が進んでいくのだが、非常に美しいシーンが続く。復讐劇と真反対のシーンが交互に繰り返され、いったい自分は何を観ているのだろうかと、不思議な感覚に陥る。そういう様々な面からも美しい作品なのである。『パーフェクト・ドライバー』も『バレリーナ』も女性主人公で、そして敵をバンバンなぎ倒していくという作品はどれも観ていて気持ちのいいものである。敵はたいていクズなので。私はどちらも観ていて涙してしまったのだが、普通に考えて女性一人が単身悪の組織に立ち向かっていくというのは、どう考えても無茶だろう。勝ち目などあるはずがない。たとえ殺人術などそういった特殊な能力を身に着けていたとしても数的に無理だろう。だが主人公はそんなこと考えていないのだ。『パーフェクト・ドライバー』なら家族でも友人でもない不思議な関係の子供を守るために、『バレリーナ』は死んだ親友のために、ただその一心なのだ。その主人公たちの異常な感情と異常な行動が見ている私を奮い立たせるのだ。そう覚悟を決めた者たちの表情、行動はただただ美しい、カッコいい。客観的に観て主人公は悪いことをしている奴らを殺しにいくという、法律的にもやってはいけないことをやっていて、冷静に見ればダメだろこれ、となる。でも観ている我々はその行動を雄姿として観て、心の中で応援し、やってくれと主人公たちに思いを託すのである。やってはいけないことをでもやってくれとこの矛盾した感覚がこれこそが映画体験の一つなのである。映画の中だから許されるこれが映画のエンターテイメントなのだ。

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