2016年5月31日火曜日

オバマ大統領、ヒロシマ訪問

先日仕事場の休憩室でちょうどオバマ大統領が広島を訪問し、原爆ドームから出てきたところであった。休憩は30分しかなく、演説の途中で仕事に戻ったのではあるが、とにかく最後までこのニュースを見ていたかったのである。
 日本人として歴史的な瞬間であった。現アメリカ大統領が原爆を落とした地に立ち、少なくとも被災者と同じような感情を共有するというシチュエーションを目にすることができた。プラハ演説に始まり今回の広島訪問までの7年、オバマ氏にとってのシナリオ完成というクールな意見も多々あり、私自身もそう思うところはあるが、今回のその映像を見ていて私は感動したのである。このようなパフォーマンスができてこそのアメリカ大統領だろう。
 政治家は公人である。オバマ氏が個人的にどう思っていようとアメリカの国益が最優先されるのは当然の話である。今回のヒロシマ演説の全文を読んでも明確な謝罪の言葉はない。当然だ。もし、謝罪すればとんでもない大問題に発展していただろう。ただでさえ、あの抑えた表現ですらも批判されているというのに。
 オバマ氏はまた原爆資料館に折り鶴を作って置いていったという話も聞いた。ヒロシマの折り鶴の話は、アメリカでも有名で小学生のテキストなどに登場するらしい。アメリカ国内向けにも、平和主義者としてのスタンスをさらに明確にした、という意味で大いに有効である。折り鶴を折るというのは、被爆者(日本人のみならず、朝鮮の人々も捕虜だった連合国の人々も含めて)の痛みを共有しているという最もわかりやすいアクションだったからだ。もちろん日本人への心情的な訴えかけは最大の効果を生んだといえる。折り鶴は日本の国是・平和の象徴的アイテムであるからだ。それを大統領本人が「手伝ってもらいながらも」自分で折ったというのである。この説明は日本人的には極めて有効だ。手伝ってもらったと正直に述べているところが好感度をさらにアップさせる。日本人は折り鶴の折り方を熟知している。そう簡単に折れるとは思っていない。だからこそ折ろうと奮闘している大統領の姿は容易に想像できる。日本人はこういうアクションに弱い。
 さすがは、最大の効果を常に考え、常に最大の結果を求める“アメリカ”を体現する人物である。ともあれメディアはいろいろ言うんだろう。しかし、現役のアメリカ大統領が、ノーベル平和賞受賞者がヒロシマにきた。原爆資料館にも入館し、平和公園に立ち、献花し、被爆者のご老人をハグして慰めた。そのココロの憶測などそんなものはどうでもいいではないか。その現実だけは事実なのだから。

2 件のコメント:

  1. オバマ大統領の広島訪問には、もちろん賛否両論がありますよね。
    でも、少なくとも、オバマ大統領自身が原爆を使用した本人ではないこと、戦後の世代は変わりつつあること、日米の関係も当時とはまるで違うこと、今この瞬間も世界のどこかでは爆撃の恐怖に怯えながら息をひそめている人々がいることぐらい、誰もが分かっているはずです。

    地球上では毎日たくさんの人が生まれて死んで、毎日いろんなことがおきていて。
    世界中のすべての人々が、心穏やかに暮らせるようになれればいいのですが。

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    1. Abbyさん、コメントありがとうございます。
      この原爆に関しては、永遠に続く問題の一つでしょうね。
      そしてこの問題に大きな一歩を踏み入れたのがオバマ大統領ですね。
      しかし、核の問題はなくなることはないでしょう。
      多くの人は核をなくしたいと思っていますし、私もその一人です。
      しかし、なくしたいというのと、なくせるというのは全く別の問題になってきます。
      核の傘下、抑止力によって平和が保たれているということもあります。
      なかなか難しいですが、本当はすべての核が廃絶されればいいのですが。

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