2024年1月28日日曜日

『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』(ネタバレあり)

 昨年はほとんど投稿できなかったので、ちょいちょい昨年のことにも書いていこうかなーと思う。今回は昨年観た映画ですばらしかった作品の一つを紹介したいと思う。これは何回か前の投稿でも書いていたのだが、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』である。これは2作目ということで、『スパイダーマン:イントゥ・ザ・スパイダーバース』の続編である。この作品もこのブログで紹介したことがあるのだが、アニメーション映画である。人気のMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)とはほぼ関係がない作品である。関係があると言ったら関係があるのだが、ここではほぼ関係ないということにしておこう。私は1作目の『スパイダーマン:イントゥ・ザ・スパイダーバース』がめちゃくちゃ大好きですばらしい作品である。映画とかアメコミとか全く観たことがない人でも絶対に楽しみえる作品なので、これは観た方がいいとおススメしているのである。まず、続編が公開されるということで、いつものことなのだが好きな作品であればあるほど不安が増すのである。前作よりもおもしろいのだろうかと。ちょうど公開された日が私も休みが取れたので、早速予約して観てきたのである。その不安は開始から15分で瞬殺されたのだ。前作のあの映像のすごさをいとも簡単に超えてきたのだ。こんなことが起こりえるのかと。この映画のキャッチコピーである「運命なんてぶっ潰す!!」というのは、スパイダーマンは必ず大切な人を失うのである。これをカノン・イベントというのだが、もしこのカノン・イベントが起こらなければその世界が崩壊してしまうほどの重大なイベントなのである。今回の作品では様々なアースのスパイダーマンが登場し、何百人何千人ものスパイダーマンが登場する。主人公マイルズはアース1610の世界に生きているのだが、彼は本来スパーダーマンになるはずではなかったというのが明かされるのである。そして今回のもう一人の主人公でアース65の世界に生きているグウェンだが、彼女が生きている世界ではグウェンがスパイダーマンである。前作の物語以降に、別次元へと迷い込んでしまう事件というのが頻発していたのだが、それをスパイダー・ソサエティーが警察ではないが、常に見張っていたのである。グウェンの世界にも迷い込んできたヴィランに遭遇し、そこでグウェンはスパイダー・ソサエティーと出会い、そのメンバーになる。マイルズの世界でその次元にかかわる敵が存在し、グウェンがその目的でマイルズの世界に行き、前作よりの再会を果たす。グウェンが本来の目的が自分に会いに来たことではなかったのを知った時はショックを受けたが、マイルズはグウェンを追いかけ、マイルズもスパイダー・ソサエティーの存在を知る。しかし、とある闘いからマイルズは別次元のカノン・イベントを阻止してしまいそのアースが崩壊しそうになる。カノン・イベントは必ず行わなければならないのだ。それをスパイダー・ソサエティーのリーダーから伝えられるのだが、スパイダー・ソサエティーのもう一つの目的にカノン・イベントが必ず実行されるように見張っているというもの。そしてマイルズのお父さんが殺されるというカノン・イベントがあるのを告げられる。マイルズは当然お父さんを救いに行くために自分のアースに戻ろうとする。でもカノン・イベントが実行されないと世界が崩壊してしまうので、何百人何千人といるスパイダーマンがマイルズを止めようとするのである。そして彼は両方救ってみせるとすべてのスパイダーマンを敵に回すことになるのだ。今回の作品は3部作中の2作目の話で、内容としてはかなりつらい話でもある。スパイダー・ソサエティーはそのカノン・イベントの運命を受け入れろというのだが、彼はその運命を潰そうとしているのである。最終的にどうなるのかは今回では描かれないのだが、もう期待が高まるばかりで、逆にここまでハードルを上げて次作は大丈夫なのかと余計に心配になってしまっている。今回非常に印象に残っているシーンが、グウェンが久しぶりにマイルズに再開し、2人で高層ビルの最上階からぶら下がって話をするシーンがあるのだが、スパイダーマンというのは基本的に世界に一人しかいないし、その悩みというのはスパイダーマンにしかわからないのである。なのでグウェンの悩みはマイルズにしかわからないし、マイルズの悩みはグウェンにしかわからないのである。そのぶら下がって世界というかニューヨークの街並みが逆さになって見えるシーンは彼らにしか見えない景色なのである。彼らにしか理解できない、孤独な存在なのである。そのシーンは圧倒され、涙が出てきたのである。そしてグウェンが自分のお父さんに言うセリフがある。「お父さんは私の半分しかわかっていない」と。よく聞くセリフで「私のことを何もわかってくれていない」というのはよく耳にするが、このグウェンのセリフに衝撃を受けた。このセリフはLGBTQの人たちからものすごい共感の声が上がったみたいである。グウェンの部屋に“PROTECT TRANCE KIDS”と書かれていて、一部の国では公開禁止となっているのだが、グウェンがトランスジェンダーかどうかは別の話だが、この映画はただ単にスーパーヒーロー映画でないということなのだ。前作でグウェンはマイルズの世界から自分の世界に戻ってきて以降、彼女は自分の居場所を探し続けていたのだ。でも自分の居場所はなかった。彼女はドラマーで、バンドのメンバーだったが、そこでもやはり居場所はなかった。自分に合うバンドを探していたんだと。でもそれは見つかることはないんだと。だから自分で作ることにしたと、前作でかつてのマイルズの世界で出会ったスパイダーマンたちとマイルズを救いに、別次元へ行く扉、ポータルに飛び込むシーンでこの映画は終わる。最後は号泣なしでは見れない映画である。グウェンが悩み、探し続けていることからこの物語は時始まり、そしてグウェンが出した答えでこの映画は終わる。3部作の中盤ということではあるし、物語としては完結していないのだが、でもこの作品はグウェンの話でもあるのだ。「スパイダーマン」と聞くと、またスーパーヒーロー映画かよと敬遠する人もたくさんいるだろう。でも少なくともこの映画は一人ひとりに問いかける、誰にも相談できない孤独な人たちに寄り添い、背中をそっと押してくれる優しい映画なのである。

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