2020年2月14日金曜日

歴史が変わったアカデミー賞

 こちら東京は急に暖かくなり、今までの服装だったら暑いくらいである。急に暖かくなったので、少し薄着でもいいのかなーと思うのだが、寒かったらヤダなーとついつい思ってしまうのでなかなか薄着できないでいるのである。また寒くなるのだろうけど、少しずつ春に近づいていっている。2月も残り半分で、もうすぐ3月である。あっという間だなー。


先日気になっていたアカデミー賞があった。私は仕事であったが、合間合間を見つけて速報をチェックしていたのである。アカデミー賞の直前の全米製作者組合賞という賞があるのだが、それで『1917 命をかけた伝令』が受賞し、この賞とアカデミー賞の作品賞が連動しているパターンが多いため、『1917 命をかけた伝令』が取るのでは?と思っていたのである。アカデミー賞当日、その速報をチェックしていて、作品賞は最後の発表なのだが、監督賞というのがあり、それで『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督が受賞したことがわかったとき、これは『パラサイト 半地下の家族』が作品賞取るかもしれないと思ったのである。アカデミー賞で監督賞を取れば作品賞も取る場合が多いからである。そして案の定『パラサイト 半地下の家族』が見事受賞したのである。これはものすごいと思った。そもそもアカデミー賞はアメリカ国内の賞で、外国の映画は外国語映画賞というのがあるので、基本的にはそれになるのだが、作品賞にこの『パラサイト 半地下の家族』がノミネートされ、そして受賞までしてしまうというのは異例中の異例である。カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞し、そしてアカデミー賞作品賞まで取ってしまうのというダブル受賞はなんと64年ぶりだそう。歴史が変わった、時代が変わった瞬間であった。すばらしい作品に国や人種などそんなことは関係ないことを証明したのである。昨年は、『グリーンブック』、『ブラック・クランズマン』、『ブラックパンサー』、『ボヘミアン・ラプソディ』など人種問題やLGBTQの作品が多かった。そして今年は、また白人ばかりのアカデミー賞と再びバッシングがあったが、その中で『パラサイト 半地下の家族』が取ってしまうという番狂わせ。こういった賞にそこまで重要視していない私ではあるが、本当にすばらしいことだと思った。日本はこういう社会問題をなかなか題材にして作品を作ろうとしない。社会問題を取り扱うと観に来る人が少なくなるとか、炎上するとか、裁判になったらどうしようとか、そういうことばっかり考えた挙句に出来上がる作品はいわゆる“難病モノ”である。日本のネタはそればっかりである。もういい加減にしろよと言いたくなる。もういいよそのネタは。ただ単にこの国にそういった社会問題を扱って作品を作ろうという根性のあるクリエーターが存在しないということである。社会問題を取り扱った作品は本当に客が減るのか?『ブラックパンサー』はどうなんだよ?大大大ヒットだよ?もうそんな言い訳は通用しないんだよ。今回韓国の『パラサイト 半地下の家族』が受賞されたのを機に、日本の映画業界に少しでも刺激になったらと思う。そういえば『スキャンダル』という映画で、アカデミー賞のメーキャップ・ヘアスタイリング賞を受賞したカズ・ヒロさんという方がいらっしゃるのだが、元日本人で今はアメリカ人となっている。カズ・ヒロさんは2018年にも受賞されていて、今回で2回目の受賞である。カズ・ヒロさんが授賞式の後の記者会見で、「日本での経験が受賞に生きたか」という質問に対して、カズ・ヒロさんはこう答えている。「こう言うのは申し訳ないのだが、私は日本を去ってアメリカ人になった。日本の文化が嫌になってしまったし、夢をかなえるのが難しいからだ。それで(今は)ここに住んでいる。ごめんなさい。」と。これほどまでに大きい舞台である場所で、このように答えるというのは我々日本に向けてのメッセージなんだと思う。ただ単に日本が嫌いになったと言っているわけではなく、その向こうにある伝えたいことがあるはずである。それを私たち日本人は耳を傾けなければならないはずである。私はこの答えを聞いて、ありがとうと感謝の言葉が心から出てきたのである。カズ・ヒロさんの言葉を真摯に受け止めたいと思う。何から何まですごいアカデミー賞であった。これからまたすばらしい映画という作品が作り出されることを心待ちにしたい。

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